解像度の概念
写真や画像は基本的に「ドット」で構成されています。例えば横10個のドットと縦10個のドットで構成されている画像は合計100個のドットで構成されていることになりますが、横100個×縦100個の合計10000個のドットで構成されている画像よりも「粗い」ということは何となくわかると思います。
これがいわゆるカメラにおける「画素」の概念で、100万画素のカメラ(100万個のドットで表現できるカメラ)より500万画素のカメラ(500万個のドットで表現できるカメラ)の方がキレイに写せるって感じになります。(実際には他の要素もありますが、簡単に言うとこういうことです。)
で、画像にはこの他に「解像度」という概念があるのですが、これがまたややこしくて…先日も、お客様から「画質をよくしたいんだけど解像度を上げればいい?」って聞かれました。そのお客様は単純に横ピクセルと縦ピクセルを増やそうとしていましたが、それでは画質はよくなりません。
画像は、だいたいピクセルで横のサイズと縦のサイズが表記されますが、これは「1ピクセル=1ドット」と考えればわかりやすいです。つまり、大きなサイズであればあるほどドットが多いので、きれいな画像である(画質が良い)ということになります…が、これは元の状態から大きなサイズである必要があります。
例えば、横10ピクセル縦10ピクセルの画像を、画像ソフト上で横100ピクセル縦100ピクセルにしたとします。元の画像には横10ピクセル縦10ピクセルの画像情報しかありませんから、あとの横90ピクセル縦90ピクセルはどうするかというと、画像ソフトが補完するんです。スムーズにつながるように計算をして近似色で埋めるんですが…要は「ボケる」ってことです。つまり、単純にピクセル数(ドット数)を増やしても、画質が良くなるわけじゃないんですね。
考え方としては「綺麗に印刷するためには大きい画像サイズ=ピクセル数が多い画像が必要」というのは正しいです。ただ、よく勘違いされるのは「画像サイズ=解像度」を表しているのではないってことです。解像度の単位は「dpi」ですが、これは「Dots Per Inch(ドット・パー・インチ)」の略なんですね。1インチの中にどれだけのドットがつまっているかを表しています。つまり、解像度ってのは「画素の密度」のことなんです。
1インチ(約2.54センチ)の中にドットが10ある画像と、1インチの中にドットが100ある画像とでは、どちらが高精細になるかわかりますよね?もちろん後者の方がきれいなわけですが、前者より後者の方が高解像度ということになります。印刷物を入稿する時に高解像度が求められるのは、こういう理由からなんですね。
解像度というのは画像ソフト上で後から上げることもできますけど、それは「高画質になる」のとイコールではありません。ですので、最初から解像度の高い状態で写真を撮っておくことが大事かなと思います。