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2011年01月11日

●祖父の着物

一昨年、結婚10周年の折には夫婦揃って着物を新調したのですが、お正月に着る着物はずっと同じものを着ています。…それは、おじいちゃんの着物です。実は僕が昔から着ている着物は、おじいちゃんが使っていたものを仕立て直したものなんです。いわゆる形見分けです。

着物を着ると、なんだか「日本人」の正装って感じがして自然と身が引き締まります。背筋がピンっと張るんですよね。これはどんな着物を着てもそうなんですが、おじいちゃんの着物は身が引き締まるのに加えておじいちゃんが側に居るのを感じるんです。なんだか側でずっと見守っていてくれるような…。


八百万(やおよろず)の神という言葉もある通り、昔の人は全てのものに魂(神)が宿ると考えていました。あながちそれも間違いではないのかもしれません。間違いなく「温かい何か」はこもっていると思うんです。

物には魂が宿っているというオカルトチックな事を言いたいのではありません。要は後世の人の受け止め方なんです。おじいちゃんやおばあちゃんに大事にされた孫ならば、おじいちゃんやおばあちゃんの使っていた物に「その人」を感じるのも自然な事だと思うんです。愛する人が居なくなった後、愛する人の使っていた物に「その人」を感じるのもごく自然な事です。

ただ、順番が逆なんですよね。その人が想いを込めた物だから大事に思うのではなくて、あなたがその人を大事に思っているからその人の使っていた物に「想い」を感じるのです。すなわち、生前にどのような係わりを持てたかという事が大事なんです。

ありがたい事に僕は祖父に可愛がってもらいましたし、正直じいちゃん子でした。だから、この着物を着ると「祖父を感じる」んだと思います。





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